ご愛読ありがとうございました
愛媛を舞台にした作品を書きたい。
愛媛の人に愛される物語を作りたい。
約2年前、『かなしきデブ猫ちゃん』は、そんな思いつきから始まった「挑戦」でした。
美しい愛媛の景色、情に厚い愛媛の人、おいしいみかん、伊方原発、『坊っちゃん』の世界、連載中に起きた豪雨災害・・・・。書きやすいことも書きにくいことも、逃げずに向き合おうというのがテーマでした。
自分たちの実力不足も含め、いつも何かに怒っていましたし、もっと何かできたはずだという悔いもあります。
でも、まだ「挑戦」は半分です。いつかすべての愛媛県人が知っている物語になるように、他県の人がうらやましがる作品となるために。引き続き『かなしきデブ猫ちゃん』をよろしくお願いいたします。
半年余り、応援ありがとうございました。来年3月の書籍化で、そして近い将来の『帰ってきたデブ猫ちゃん』で再開できればこれ以上嬉しいことはありません。
早見和真 かのうかりん
デブ猫ちゃんNEWS
『デブ猫ちゃんグッズ』
サイトから買えるようになったゾ!
吉田町で読みきかせ会をやったゾ
みんなありがとな!がんばれ!
祝!絵本化!!
マルグッズ販売!
ヘッディング 6
これまでのおはなし
松山市のネコカフェに保護されていた1匹のチビネコ。その場所だけが自分の生きる世界だと信じていたある日、内気な少女アンナと出会い、その家族に引き取られる。「マル」という名前を与えられ、窓から大きな庭を見渡せる家での新しい生活が始まった。
マルが驚いたのが食事のおいしさだった。魚の切り身の入った〝ご飯〟の素晴らしさ。毎日食べて、ゴロゴロして。いつの間にか丸々と太ってしまった。
幸せだったはずのマルの日常は、メスの子ネコ「スリジエ」が家族に仲間入りして一変する。家族の愛はスリジエに注がれ、そのスリジエからいたずらされてばかり。ある夜、我慢の限界に達し、スリジエを組み伏せようとしたマルの耳に響いたのは…。
「コラ!デブ猫!どうしてスリジエをいじめるの!」〝大親友〟だったアンナから放たれたひと言。何よりも悲しそうなアンナの表情がマルの心を締め付けた。
独り窓辺でくるまっていたその夜、突然、窓の向こうにクロネコが現れ、マルにこう告げる。
「気高き者よ。その目で広い世界を見るのです」
言われるままに立ち上がったマル。体の奥底の震えを感じながら、満月に向かってほえ叫んでいた。
「ニャーーーーーン!」
愛媛各地を東へ、西へ。愛と哀しみの大冒険がいよいよ始まる!
(毎週土曜日「愛媛新聞」にて大好評連載中!)
デブ猫ちゃんとなかまたち
さがしにいく
家出
クロネコ
(マドンナ)
マルの夢に出てくるミステリアスなメス猫。額に三日月型のキズがある。実は道後温泉のマドンナであった。
茶ネコ
庭にあらわれる野良猫。窓の外からマルをおくびょうものとバカにしてくる。いじわるな顔をしているが、かつお節に目がない。
道後温泉のなかまたち
坊ちゃん
暴れん坊だがまっすぐな猫。猫知れずマルを仲間に入れようとしている。
赤シャツ
アンナの家の庭に来た茶ネコ。いつも赤いシャツを着ている。
野だいこ
赤シャツの腰巾着。長いものに巻かれるタイプの猫。「でげす」が口グセ。
キヨ
坊ちゃんを幼い頃から見守っている猫。よい気性の坊ちゃんを心配しつつも、頼もしく感じている。
たぬき
ことなかれ主義の猫。
山嵐
正義感の強い猫。坊ちゃんと気が合い、たまに一緒にまたたびをたしなむ。
うらなり
お人好しで気弱な猫。マドンナに秘かに思いを寄せる。
アンナ一家
アンナ
一人っ子の小学3年生。マルの大親友。そばかすとくせっ毛を気にしている。
スリジエ
マルのあとにもらわれてきたメス猫(血統書つき)人間が好き、いたずらが好き。
パパ
おおらかな性格。ガシガシ頭をなでるのでマルからは嫌われている。
ママ
やさしい性格。最近ダイエットを始めた。
旅先で出会ったなかまたち
四国中央市の三島公園
内子
四国中央市で出会ったネコ。マドンナとも仲が良かった。その後自分も旅に出て内子町でマルと再会。
トラックのおじさん
西条市(旧東予市)
四国中央市から今治市まで、マルを車にのせてくれたやさしいおじさん。
こうちゃん
今治市
アンナの幼なじみ。しまなみ海道で借りたレンタサイクルのかごにマルが寝ていた。やさしい男の子。学年で一番足が速い
漁師のおじさん
伊方町
今治から愛南町まで船に乗っけてくれ、魚までくれる。マルが何も言わなくても全てを理解してくれる。
ヘミングウェイ
愛南町
ネコカフェ時代のマルともだち。小説家にもらわれるも捨てられてしまい愛南町の外泊にたどりつく。気のいいネコ
チビネコ(ジャック)
ピース
砥部町
動物園で人間に育てられた白クマ。砥部動物園の人気者のおんなのこ。
作者紹介
絵 かのうかりん
絵本作家
1983年今治市生まれ。動物や自然などをテーマに絵を描く。「いろんなおめん」で第6回フジテレビBe絵本大賞入賞。最新作に「おやすみおやすみみんなおやすみ」(金の星社)
(コメント)
モフモフで抱きしめたくなるようなその見た目とは裏腹、人間にこびられない不器用なデブ猫の“マル”。そして物語に登場する、かわいいけどちょっと毒のある、いろんな性格の猫たちをそのまま描きたいと思います。
舞台となる、故郷の愛媛のゆったりとした風景を描かせていただくことも楽しみです。
かのうかりんオフィシャルサイト
文 早見 和真
小説家
1977年神奈川県生まれ。2008年、自らの経験を基に野球部を描いた「ひゃくはち」でデビュー。「イノセント・デイズ」で第68回日本推理作家協会賞受賞。2016年から松山市在住。
(コメント)
はじめての童話、はじめての試み。使ったことのない脳みそをフル活用させる毎日です。
代表作は「イノセント・デイズ」でもなく、「ぼくたちの家族」でもなく、「かなしきデブ猫ちゃん」の人。愛媛県内でそう言われるようになったら、この勝負、僕の勝ちです。
このお話ができるまで
「絵本を作ってみたいと思ってるんだ」
創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」の物語は、小説家・早見和真さんのこのひと言からすべてが始まりました。
2016年、静岡県河津町から愛媛県松山市に移住した早見さん。それまでは周囲との関わりを断ち、ストイックに執筆に臨んでいましたが、「いで湯と城と文学のまち」である松山で、心を開き、人と接しながら小説を書いていく道を選びました。
その中で新たに芽生えたのが、「物書きとしていかに町おこしに関わっていけるか」という思いでした。一方で、自宅の飼い猫をモデルにした物語を書いてみたいとも考えを巡らせていたある日、ふと浮かんだそうです。
この子が家を飛び出し、愛媛中を旅する冒険譚を描けば、何か力になれるのでは-。
2つの思いが結び付き、デブ猫ちゃんプロジェクトの歯車が動きだしました。
小説ではなく、あえて童話を選んだのは、早見さんが作家人生で初めて、一人娘をめがけて書くと決めたから。相棒に選んだ絵本作家・かのうかりんさんも一人娘を持つママです。新境地に挑む早見さんを、かのうさんの見る人の心を包み込むような優しさに溢れた絵が支えていきます。
文章が苦手な子どもたちにも読んでもらいたいとの願いを込め、愛媛新聞で週1回ペースでの連載です。2人は主人公のマルになりきって、一足先に愛媛県内各地を巡りました。きれいな風景を見て、おいしい食べ物に舌鼓を打ち、地元の人たちとも触れ合いながら…。みなさんが住んでいる町も、いつか登場するかも知れません。
2018年4月、いよいよ、「かなしきデブ猫ちゃん」の本編スタートです。これから待っているのは一体、どんな物語でしょう。マルが繰り広げる愛と哀しみの旅、そして、その活躍にご期待下さい。
(愛媛新聞 生活文化部 山本憲太郎)
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